KAWASAKI Z1/Z2の違いについて

「ニューヨークステーキ」という開発コードで呼ばれ、
並列4気筒DOHCエンジンを搭載したZ1。
それまでの国産の最高排気量であったホンダCB750フォアを駆逐する
世界最高レベルのバイクとして開発された。
アメリカとヨーロッパで主に販売されたが、仕様は若干異なった。
初期型Z1の仕向地による差異
| アメリカ仕様 | 1 | シートベルトがない |
|---|---|---|
| 2 | フォークとリアショックのリフレクターがフロント黄、リア赤 | |
| ヨーロッパ仕様 | 1 | シートベルトがある |
| 2 | リフレクター部にメッキ仕上げのカバー | |
| 3 | ロングタイプのリアフェンダー装備 (一部のみ) |
Z2は日本の750cc以上自主規制が生み出した国内仕様の名機である。
元々、生産台数で比較するとZ1はZ2の5倍ほどであった。
(※Z2の生産台数は推定2万台)
1988年、日本で自主規制が解禁になった際に輸入された大量のZ1。
そのZ1のための部品取りに使われ、台数が減ったZ2。
この出来事は、両者の希少性を更にわけ、Z2の希少価値を上げた。
発売当時の値段
| 値段 | Z1 | 約571,500円(1895$/1$≒301.5円) |
|---|---|---|
| Z2 | 418,000円 |
2021年5月現在の相場
| 値段 | Z1 | 約280万~660万 |
|---|---|---|
| Z2 | 約450万~788万 |
Z2はZ1と比べると性能は劣るものの、メイドインジャパンで国内で使用され、保存され続けている点も評価が高く、Z1よりも高値で取引されている。
しかし、実際に乗るのであれば、パワフルで当初の設計時から903ccであったZ1はトータルバランス、エンジンのパワーが違い、スピードも出る。
エンジン

![]() 初期型Z1、Z2はすべてブラックペイントエンジン |
![]() Z1A/Bはアルミ地肌のシルバーエンジン |
| 総排気量(cc) | Z1 | 903 |
|---|---|---|
| Z2 | 746 | |
| ボア×ストローク(mm) | Z1 | 66×66 |
| Z2 | 64×58 | |
| 圧縮比 | Z1 | 8.5:1 |
| Z2 | 9.0:1 | |
| 最高出力(ps/rpm) | Z1 | 82/8,500 |
| Z2 | 69/9,000 | |
| 最大トルク (kg-m/rpm) |
Z1 | 7.5/7,000 |
| Z2 | 5.9/7,500 |
| ボア×ストロークに当たる部分は、ピストンの大きさである。 Z2は、Z1よりもこの部分が小さくショートストローク。 ![]() 《Z1用キャスティングピストンキット》 |
旧車のオーナーは比較的年齢層の高い方が多く、手にする理由は「青春時代を共に過ごした、または、青春時代に憧れていた」バイクであることが多い。
バイクを通じて青春時代を蘇らせる――
そんな思いで手にするのであれば、価格はプレミアムであっても少しも惜しくはないものである。
以下は、細部の違いである。
キャブレター

| 形式 | Z1 | MIKUNI VM28SC |
|---|---|---|
| Z2 | MIKUNI VM26SC |
スピードメーター

| 表示 | Z1 | マイル |
|---|---|---|
| Z2 | km |
※日本ではマイルでは車検が通らないため、kmに変更となった。
弊社ではマイル表示を、km表示に変える車検対策商品も取り扱っている。
![]() 《Z1用車検対応マイルメーター用KM/Hステッカー》 |
フューエルタンク
| 容量(ℓ) | Z1 | 18 |
|---|---|---|
| Z2 | 17 |
サイドカバーエンブレム
![]() 《Z1初期型》 |
![]() 《Z2》 |
![]() 《Z1後期型》 |
速度警告灯の有無

Z2はヘッドライト上部に速度警告灯がある。

Z1は速度警告灯がないので、カバーで穴を埋める。
![]() 《Z1はカバー》 |
![]() 《Z2は速度警告灯》 |
コーションラベル

![]() 《Z1/ENGLISH》 |
![]() 《Z2/日本語》 |
パネルステッカー

![]() 《Z1/ENGLISH》 |
![]() Z2は日本語。 |
旧車の宿命ではあるが、昨今、状態の良いZ1・Z2の台数は減少傾向にあり
今後も価値は上がり続けると予想される。
既にZをお持ちのオーナー様も、これから乗られるオーナー様も、
どうぞ価値あるZを大切にしてください。












